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クラベル。色んな所に行って色々考えたり、比べたり。20代会社員尾山優の雑記・小旅行記とか

現代の理想郷? 作家武者小路実篤が作った共同体・新しき村に行ってみた!

突然ですが、皆さんは「新しき村」を知っていますか?

 

人口減少とか過疎化とか言われている、このご時世に新しい村と聞くと、首をかしげる方も多いのかも。もちろん「新しき」という古風な表現からも分かる通り、実際に村が新しいわけではありません。そういう名称の集落なのです。

 

とりあえずどんなものなの? ということで、ウィキペディアから引用します。

 

一般財団法人新しき村(あたらしきむら)は埼玉県入間郡毛呂山町にある共同体。

引用  

新しき村 - Wikipedia

 

きょ、共同体……!? 現代日本にそんなものがあるの? と最初に見たとき、僕はかなりびっくりした。俄然、興味が湧く。

 

武者小路実篤とその同志により、理想郷を目指して1918年(大正7年)宮崎県児湯郡木城町に開村された。

引用  

新しき村 - Wikipedia

 

武者小路実篤は知ってる。作家だった、くらいの認識しかないけど、それでもなんとなくイメージがついたような気になった。しかし、「理想郷」とはまた物凄い言葉が出たな。僕はまだ自分の理想も定まってない人間なので、一人の先人の「理想」が体現されている場所があるなら、めちゃくちゃ行ってみたいと思った。

 

実際に行ってみた

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新宿駅をクルマで出発し、1時間半。休憩を除けば、ほぼグーグル先生の予想通りの時間。

 

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正確な場所が分からなくて、辿り着いたのは地元の「ショッピングセンター」

現代風の長屋の一階に店が連なっていて、二階が住居という構造。なかなか最近はこういうのにお目にかかれない。良さみ。

 

ちょっと写真を撮り忘れてしまったけど、この写真に写ってる真ん中の本屋に、お手製の紙ポップで〈「新しき村」の百年〉という新書の紹介がしてあった。実は僕もこの新書の紹介記事から「新しき村」の存在を知った。でもそういう紹介ポップがあるということはやはり地元ネタということだし、場所は近いんだろう。

 

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住宅街が続いた先に、畑があった。共同体やら理想郷というくらいだ。絶対に住宅街の中にはないよなというイメージで突き進む。

畑の真ん中で地元民らしきおばあさんとすれ違い、方向はこちらで合ってるとお墨付きを得る。

 

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!?

 

雰囲気ある建物じゃないっすか!?

 

見づらいけど、写真右側の木札の下の方に「新しき村霊園」と書いてある! いつの間にか辿り着いてしまったみたい。

 

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その横の道を上がっていく。畜舎だろうか?

 

ん?

 

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おぉん!? なんだなんだ、怖いな。

ストリートアートにしては実直すぎる。

 

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上がりきったところに村の広場があった。

村の家屋と、井戸の雰囲気に呑まれそうになる。クルマさえなければ、確かに「共同体」感が強い。

 

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今にも雷鳴が轟きそうな曇り空に、村の旗だろうか? が颯爽とたなびいている。

 

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村には沢山の建物があったけど、多くがこんな感じ。一時期よりは人もだいぶ減ったらしい。

 

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しっかりした建物を見つける。

 

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中は作業室なのか?

この村の設立者、武者小路実篤のコトバが刻まれた板が置いてある。見かけは小学校の校歌のようだけど、主張はすごくカッコいい。

 

この時、たまたますれ違った赤いコートのおばあさんと話した。この村にいる知り合いの人に会いに来たんだそう。「昔は、私もこの村の会員だったんだけど、最近来なくなってやめちゃってね……」とのこと。会員制度があるのか……!

 

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ようやくお目当ての物を見つける。新しき村の唯一ともいえる外部向け観光施設、新しき村美術館である。今回のドライブは特にここを目的地としていた。

 

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お、さっきの旗と同じマークだ。やっぱりこの村のシンボルなのだろうか。

 

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途中の建物も雰囲気あるな〜〜〜

 

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売店があるのか。なぜかこの看板の後ろではなく、背後を振り返ると、それらしきものがあった。

 

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映画に出て来そうな感じ。

 

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ようやくお目当ての新しき村美術館。

入館料は200円。安い!

 

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中は写真撮影禁止なので、写真はないけど、武者小路実篤の筆絵とか遺品とか置いてあって、武者小路実篤をまったく知らない人でも何となく人となりが想像できるような造りになっていた。岸田劉生の描いた武者小路実篤像もあって、美術好きの同行者がものすごく感動していた。とにかく価値のあるものが色々見られます。

 

飾ってあった筆絵にはだいたい一言、実篤の言葉が添えられている。個人的に好きだった言葉は武者小路実篤が82歳のときに書いた

「私は何にも知らない、知らない事も知らない、だが何となく嬉しい」というやつ。

実篤の温かい人生観が浮かんでくる気がする。

 

展示を見た後、図書室(実篤の全集が色々な版で置いてある)で美術館の受付のおばあさんと色々話した。やはり、今はこのあたりもかなり人が少ないらしい。おばあさんは昔、東京にいたけど旦那さんの都合で引っ越して来たとのこと。「東京はすごく良いところだけど、ここも住んでみるといいもんだよ」と優しげに語る姿が印象的だった。

 

「昼ごはん食べられるところないですか?」と聞くと、村の中にはないけど、クルマでしばらく行けば手打ちの蕎麦屋が集まってる一帯があるとのこと。手打ちのお蕎麦! おなかがペコペコだったので、お礼を言い、早々に向かった。

 

次回は、この近辺の毛呂山町ドライブと新しき村まとめ編です!